ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.104(2020年6月12日)公務員とiDeCo/定説とは異なる、公務員の受け取り方

公務員がiDeCoを利用できるようになって、早くも3年が経ちました。でも、まだ3年なので、iDeCoを受け取っている公務員はほとんどいないでしょう。今回は、現状の税制等を踏まえて、公務員の立場からiDeCoの受け取り方を考えてみます。

iDeCoの受け取り方は大きく分けると、一時金として1回で受け取る、又は年金として数年かけて受け取る、の2パターンです。厚生労働省の資料※1によれば、9割が一時金で受け取っています。つまり、「iDeCoは一時金で!」が定説であり、その理由は一時金と年金で税制が異なるからです。

まず、iDeCoを一時金で受け取ると退職所得になります。退職所得の税金は、退職金から「退職所得控除」を引いて1/2をした額に税率をかけて計算します。「退職所得控除」は勤続年数で決まり、勤続20年までは年40万円、勤続21年以降は年70万円です。例えば、22歳で大学卒業し60歳まで働くと、勤続は38年で「退職所得控除」は2,060万円※2になります。退職金が2,000万円だと、2,060万円を引くとマイナスになり税金はゼロ。退職金が2,500万円だと、2,060万円を引いてもプラスですが、1/2をして税率をかけるので税金はかなり少なくなります。iDeCoの「退職所得控除」は積立期間を勤続年数として計算しますが、税制優遇の大きな退職金と同じ扱いになるので一時金を選ぶ人が多いのです。

つぎに、iDeCoを年金で受け取ると、公的年金とあわせて雑所得になります。雑所得の税金は、公的年金等の収入額から「公的年金等控除」を引いた額を他の所得と合計して計算します。例えば、公的年金等の収入額が65歳未満で年60万円、65歳以上で年110万円を超えると税金がかかります。特に、65歳から公的年金とiDeCoを年金で受け取ると、課税されるケースが多くなります。年金より一時金が税制上有利と考え、「iDeCoは一時金で!」が定説になっているのです。

でも、公務員は「iDeCoは一時金で!」と早合点してはいけません。iDeCoを一時金で受け取ると、その年を含めて15年さかのぼって他に退職金があると、「退職所得控除」が調整されるからです。極端な話、既に退職金で「退職所得控除」を使い切っていると、iDeCoでは「退職所得控除」はゼロ。公務員は、これが極端な話ではありません。総務省の資料※3によれば、60歳で定年退職した地方公務員の退職金は平均で2,192万円。iDeCoの一時金に「退職所得控除」が残る人は少ないでしょう。公務員で退職金がある場合、iDeCoは65歳迄の年金受取が税制上有利になると思います。

以上は、現状の定年やiDeCo制度、税制等を前提にした考え方です。今後、公務員の定年も65歳に、iDeCoも65歳まで積立できるようになります。将来、税制も変更されるかも知れません。そうなると、受け取り方も考え直す必要があります。大切なのは定説を鵜呑みにせず、何事も自分事(じぶんごと)として考えることでしょう。こんな風に考えるクセをつけることも、現役世代にとって「いま、できる、こと」の1つだと思います。

  • ※1 出所:厚生労働省「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理に関する参考資料」(2019年12月25日)
  • ※2 2,060万円 = 年40万円 × 20年 + 年70万円 ×(38−20)年
  • ※3 出所:総務省「平成30年地方公務員給与の実態」

大和証券
2020/2/28作成

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