ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.94(2020年4月3日)「金戦力」を日米で比較してみると…

皆さん、「金戦力」って聞いたことがありますか?「きんせんりょく」と読むかどうかも定かではありません。実はこれ、とある自衛隊基地からのセミナー依頼書に、希望内容として「金戦力の診断」と書いてあったのです。「自衛隊だから金戦力かぁ!」と何となく納得し、私なりに「金戦力とは何ぞや?」を考えてみました。

まず、「金戦力」の「金」はお金のこと。ですから「お金の戦う力」だと想像できます。お金が戦ってどんどん勢力を拡大していくイメージになぞらえれば、投資をしてお金に働いてもらうこと、つまり、「金戦力」とは「投資」と同義だと考えました。

このように「金戦力」を捉えると、日本はアメリカに比べて戦力不足と言わざるを得ません。金融庁の資料によれば、家計金融資産に占める株式・投資信託の割合は、日本では19%、アメリカでは50%です(2017年末)。日本の家計金融資産の過半は現預金(52%)であり、アメリカに比べて株式・投資信託の割合がかなり低いのが現状です。

この株式・投資信託の割合を「金戦力」とするのであれば、「金戦力」の差が家計金融資産の大きな日米格差に繋がっています。これも金融庁の資料で確認すると、家計金融資産は、1997年からの10年間で日本は1.4倍になっていますが、アメリカではなんと2.9倍になっているのです。そして、この大きな日米格差は、運用リターンの差によってもたらされたものなのです。具体的には、日本の家計金融資産は運用リターンで1.2倍にしかなっていませんが、アメリカでは2.2倍になっているのです。

日本とアメリカとは「国民性が違う」、「金融リテラシーが違う」、「投資経験が違う」と、「金戦力」の日米格差を説明する理由はたくさんあるかも知れません。でも、アメリカでも昔から「金戦力」が高かった訳ではありません。実は1980年代後半、日本もアメリカも「金戦力」、つまり、家計金融資産に占める株式・投資信託の割合に大きな差はなく、両方とも20%前後だったのです。

その後、1990年代のアメリカでは、401kやIRAという確定拠出年金(以下、DC)が急速に普及し、21世紀を迎える頃、「金戦力」は現在の水準まで高まりました。つまり、アメリカでは政策効果で「金戦力」が向上した、とも言えるのです。401kとは日本で言えば企業型DC、IRAとはイデコ(iDeCo、個人型DC)のことですね。また、先日公表された令和2年度税制改正大綱でもそれぞれの制度で加入対象者を拡大したり、使い勝手が良くなる規制緩和が盛り込まれています。アメリカからは30年遅れではありますが、いよいよ日本でもDCの普及をきっかけに「金戦力」が向上するタイミングを迎えているのではないでしょうか。

先日、そんな想いを胸にセミナーを依頼された自衛隊基地を訪ねました。私も微力ながら自衛隊員の「金戦力」向上に貢献したいと思い、周到な準備をしたのは言うまでもありません。その際、担当者に「金戦力っていい言葉ですね。自衛隊独特の言い方ですか?」と尋ねたところ、「…」との反応。よくよく聞くと、「金力」を入力ミスして「金力」になったとか。誤変換とも言い難い、とても不思議な入力ミスに私は翻弄されていたようです。。。

  • ※出所:金融庁「つみたてNISA Meetup in 名古屋(金融庁説明資料、2019/2/21)」

大和証券
2019/12/27作成

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